特定非営利活動法人

エンディングノート普及協会

カテゴリーアーカイブ 認知症と終活

著者:赤川 なおみ

世界アルツハイマーデー&世界アルツハイマー月間

世界アルツハイマーデー

9月21日は世界アルツハイマーデー(1994年世界アルツハイマー病協会が制定)そして9月は世界アルツハイマー月間です。

各地で啓発イベントや講座が開催されたり、オレンジライトアップが行われます。

2017年オレンジライトアップはこちら→ライトアップ

第4回広島県認知症ケア専門会研修会

超高齢化社会へまっしぐらの日本において「認知症」は切っても切れない疾患となってきます。

 

先日、広島で開催された「第4回広島県認知症ケア専門会研修会」に参加させていただきました。

講師は認知症介護研究・研修東京セミターのセンター長の山口晴保先生。

認知症介護研究の世界では第一人の先生ですが、まるで綾小路きみまろさんが話しているように、笑いの絶えない2時間でした。

 

認知症の疾患別に詳しく解説をしてくださった部分につきましては、先生の本をご参考にしていただければと思います。

山口先生は

  • 認知症予防とは先送りすること。長生きすればいずれなる
  • 究極の認知症予防は75歳以上生きない

など、え???と思うけど、あっさりと、にっこりとお話になるのです。

元気で長生き=認知症のリスクは高くなる

要するに

長寿と認知症はセット販売が基本です

笑ってしまいましたが、とても腑に落ちました。

そして、データを見ながら解説してくださった際にも、

40代で認知症になろうと思ったら宝くじを当てるくらい難しいけど、75歳を過ぎたらかなりの高確率でなれます

という言葉に、見る角度を変えるってこういうことなんだなぁと、妙に納得したのでした。

 

さて、今回のお話をお聞きして、私は、協会は何をしていくべきなのか?

認知症介護やケアは専門家の方々にお任せすることにして、私たちだからできることは何か?をしっかりと考えて取り組みたいと思います。

私が講演をさせていただ時も、みなさん「認知症は困る」と言われます。

そして、各種高齢者向けの講座では「認知症予防」をテーマにしたものが多く、みなさん集まっては予防体操や脳トレに励んでおられます。

少し前にも「予防」ではなく「まちづくり」を、と書いたことがありますが、私は認知症予防や脳トレに「前向きに」励む人たちを見て、逆に「後ろ向き」な感じがしていました。

少しでも元気で長生きを!と、みなさん元気に集まって体操などをする姿は、一見前向きな人たちだけど、それに励む裏側には「病気になりたくない」「認知症になりたくない」と「なりたくない」という気持ちが大きいのですよね。

ある種の恐怖とでもいうか、なったら困るから必死で予防する。恐れの裏返しになってる人も多いように思います。

実は「なったらどうしよう」というような不安を抱えた精神状態は、かえって様々な病気を誘発することも少なくありません。ストレスは様々な病気の原因になるのは、みなさんご存知ですよね。

とても納得、そして恐れたって気にしたって、これだけ長生きの時代なら誰しも認知症になるのは高確率。

「なったらどうしよう」ではなく「なってもなんとかなる」準備をした方が、よほど前向きかな?

なってもなんとかなる!

まちづくりは世代に関係なく「誰でも安心して暮らせる」ための取り組みです。

まずはRUN伴2017にエントリーしよう!

著者:エンディングノート普及協会

シニアライフセミナー2017@福山市新市公民館

当協会が広く講演活動をさせていただくことになったスタートは、4年前のこちらの福山市新市公民館で開催されるシニアライフセミナーでした。

こちらで登壇させていただいてから、主事さんのご尽力もあって様々な方面からご依頼をいただくようになり、今では全国からご依頼いただいております。

さて、今年のシニアライフセミナーは「今年は認知症をテーマにしようと思うんです」というご連絡から始まりました。

主事さんは、認知症について知識を学んだり、予防を学んだり・・とお考えだったようなのですが

認知症なら、予防よりも「認知症を正しく知る」ことに絞りませんか?

とご提案させていただき、今回の4回シリーズが決まったのでした。

自分のため、家族のために知ってほしい認知症

今回4回のシリーズでは、一般的な情報としての「認知症とは?」ということよりも、実際に現場で深く関わっておられる方、そして当事者の方の声を聞き「認知症とともに生きる」を考える流れで進むことにしました。

参加者の方は、概ね70代・80代の地域の方で、暑い中にもかかわらず皆さん毎回熱心に参加してくださいました。

第1回目の講師は、東京で長年介護福祉士として働かれ、ご主人の地元福山に5年前に帰ってこられた杉原玲子さん。

現在杉原さんは、認知症専門クリニックで相談員としてお仕事をされる他、毎年北海道から沖縄までをタスキでつなぐ「RUN伴」の実行委員をされていたり、認知症当事者の方との交流などを積極的にされています。

積極的に新しい取り組みをおこなっておられる杉原さんからは、認知症についての基礎知識はもちろん「認知症になっても、安心して暮らせるまちづくり」をテーマに、参加者さんと一緒に考えていただきました。

2回目では、日本認知症ワーキンググループのメンバー、認知症当事者として全国、世界をも飛び回っておられる広島市在住の竹内裕さんにご登壇いただきました。

竹内さんは59歳で若年性認知症と診断されたそうですが、67歳の現在もご自身で全国を飛び回り、多くの認知症当事者の方たちを勇気付けておられます。

参加者のみなさんの「認知症の人」というイメージは良い意味で打ち砕かれ、竹内さんの明るさ、前向きさ、行動力、そして認知症と診断されて年数が経過してもやりたいことはできる!という姿に、希望を生み出したことと思います。

3回目は地域包括支援センター、認知症疾患医療センターから3名の専門員さんがこられて「もしも?」と思った時にどうすれば良いのか、また予防などについてお話くださいました。

認知症にいては様々な取り組みが行われていますが「予防や対策」といった講座が多い中、今回のような当事者の方の声を聞く機会をいただいく講座は、これからもっと多くなれば良いと思います。

元気な時にできることってなんだろう?

まとめとなる昨日の4回目は、これまで3回の講座に参加されて「認知症に対するイメージ」はどう変わったのか?

そして、元気な時にできることってなんだろう?を考えてみました。

いつもはプロジェクターに資料を映し出してお話しをさせていただきますが、今回は皆さんに発言していただいて書き出していきました。

シャイな方が多い地域です。みなさん声を出してくださるかしら?と思っていましたが、心配には及びませんでした。

とても積極的に、ご自身の経験、ご家族を介護された時のこと、今回の講座で感じたこと。次々に声を出してくださって、あっという間に書き出していた模造紙が埋まっていきました。

様々な声を書き出すなかで、講座を受ける前のイメージとしては「知られたら恥ずかしい」「暴言や妄想がある」「何度も同じことを聞く」など、一般的な声があがりましたが、受講後のイメージの中に

  • 自分だけではなく、家族にももっと認知症のことを知ってほしい
  • 近所にも知ってもらった方が良い

と、とても嬉しい声が上がってきました。

これが、本来のこの講座の目的でした。まずは受講してくださった方が正しく知ること、そしてその方がまた周りの方に伝えてくださること。

最近出版された本ですが、おれんじドア代表で認知症当事者として活動されている丹智文さんの本の中にも、予防よりも大事なことが書かれていたのですが、まさに予防しても絶対にならにわけではありません。

インフルエンザだって予防接種をしてもなるときはなるし、予防は前もって防ごうとする行為ではありますが、それでならないということが約束されるわけではない。

それなら、そうなっても良い準備や環境づくりに力を入れた方が、みんなが楽しいし幸せなのではないでしょうか?

そして「認知症になっても、安心して暮らせるまちづくり」こそが、これからの時代には必要であり、現状を知り、何をするか考えることは、とても大切なことだと思います。

エンディングノートは、まさにその「現状を知る」「何をするか考える」ツールとしてはぴったりなもの。常々お伝えするように「いつか、正式に決まったら書きとどめて伝えよう」ではなく

今のことを書く

というのが大切です。今の状態を書き出し、それを伝えるとともに、できていなかったり考えないといけない部分は

これから何をしていくか考える

ことで、問題や不安は解決していきます。

自分一人がやっても何も変わらない・・・いいえ、まずは自分が変わり、友人を巻き込み、地域を変えなければ何も始まらない。

今回の4回の講座を開催してくださった福山市新市公民館のみなさま、そして講師としてご登壇くださった皆さま、ありがとうございました。

 

8月8日はEN日(エンディングノートの日)

 

 

著者:赤川 なおみ

認知症で困るのは誰?認知症を正しく知ろう

先日、手芸店のレジで見かけたおばあちゃん。

 

たぶん、認知症がゆるやかに進んでいるのだなぁ・・・と、感じた瞬間がありました。

 

きっと、みなさんも見かけているのでは?

認知症でも日常生活を送る

私が感じるのは

認知症=何もできない

というイメージを持っておられる方が多いこと。

 

しかし、実際には、心筋梗塞や脳血栓のように「突然倒れる」というようなものではなく、かなりの段階を経て認知症は進行しています。

 

だから、みなさんがイメージするような認知症の状態に、突然なるわけではありません。

 

どの人にも

あれ?ちょっとおかしい?

でも、気のせいかな?

ということがあり、その回数が増えたり、なんとなく違和感があったり・・・

 

それを、そのまま放置し、どんどん進行して「どうしましょう!」という段階で、

やはりそうか・・・

と、認めざるをえないことが多いのではないかと思います。

 

高齢化が進む日本でも、きっと日常的に「初期の認知症」の方を見かけているはずですし、もしかしたらご自身の親も、旦那さんも、奥さんも、そしてあなた自身にも、そんな兆候があるかもしれません。

 

先日のおばあちゃんも、手芸をされるのでしょうか?材料を買いに来ていらしたようでした。

 

そして、レジでお会計の時に、定員さんから「会員になるとお得ですよ」と声をかけられたようで、会員申し込み用紙に記入しておられました。

 

その時です。

何かに迷い始めました。

 

それは

住所と電話番号

の記入欄を見た時です。

◎◎を忘れたからわからない・・・

どうしよう・・・

と、しばらくブツブツと独り言のようではありますが、まわりにも聞こえる声で何度も同じことを言っています。

 

店員さんは、煮え切らないおばあちゃんにイライラしているのは明らか。

 

おばあちゃんの「会員になったら返品はできますか?」の質問にも、机に貼ってある「返品できません」の紙を無言で指差す状態。

 

そして「やめますか?やめるなら今なんですけど」ととどめをさし、おばあちゃんは諦めたようでした。

 

定員さんのイライラはわからないでもないのですが、もしも「これは?認知症かな?」と気づいていたら、他の対応もできたはずです。

 

少し前にも、スーパーで食材を買い物してレジを済ませ、袋に詰める台までカゴを持ってきたところで、忘れて帰っているのを見かけました。

 

きっと、お財布にお釣りを入れたか何か、一瞬他のことをしたのでしょう。

 

そうすると、買い物をしたことを忘れて帰ってしまった・・・

 

ただそそっかしくて「あ!そうだった!」と、真っ赤になりながら引き返すのとは違うのです。

 

自分が「買い物をした」という行動を全く忘れているから、取りに帰ることはありません。

 

このように、日常生活全てにおいて、認知症を発症したとしても、日常生活がそのまま続いている場合が多いと思われます。

困るか?困らないか?

先ほどの買い物カゴの中身を忘れているのを見た時、「きっと帰ってから困っているだろうに・・・」と、私は思いました。

 

しかし、認知症についていろいろと知る中で

実は、本人は困っていない

ということに気づきました。

 

先ほど書いたように「買い物をした」ということを全て忘れているとしたら「どうしよう、忘れてきてしまった」という発想にはなりませんよね。

 

きっと、次に冷蔵庫を開けた時などに「あれ?ないなぁ。買いに行かなくちゃ」となるはずです。

 

だから

実は、本人は困っていない

のです。

 

私のように、自分の常識の中で考えると

買い物した物を忘れたら困るだろう

と、相手を自分に置き換えて考えて「困るだろう」

なのですが、ご本人にしてみれば

あら?ないからまた買いに行こう

くらいなことかもしれません。

 

要するに

認知症になったら困る!

というのは、

当事者ではなく周りの人

なのではないか?と、認知症を知れば知るほど思います。

 

そして、認知症かな?と気づくのも

本人よりも周りの人

だと思うのです。

認知症を正しく知る

認知症が発症したからと言って、特別な生活を送らなくてはいけないわけではありません。

 

日常生活を送っていますし、明らかに生活に困難をきたしているのでは?と思っても、ご本人は気づいていないということもあります。

 

だからと言って、何もしなくて良いわけではない。

 

車の事故や踏切の事故が起こっているように、やはり危険はつきものです。

認知症でも日常生活に困らない

ためには、世の中が認知症を正しく理解し、

  • 気づいたらどうするのか
  • 声かけは?
  • 行動は?
  • 何をすれば良い?

を、知ること。

 

今は、認知症と診断された方ご自身が、積極的に発信をされています。

 

ぜひ、その方たちの声を聞いてみましょう。

 

実際にサポートしている人の声を聞いてみましょう。

 

本当のサポートとは何か?を考えるなら、

まずは正しく知る

そこから始めませんか?

 

ーぜひ一緒に知って、応援してくださいー

5月13日(土)広島県福山市で開催します!

お申込みはこちらのフォームから!

 

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